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【ロイエドSS】境界線と聖なる夜空


砂漠のように砂しかない乾いた大地に座り込んでぼんやりと境界のわからない地平線を眺めていたら、男がやってきて無言で後ろに座り込み両足でオレの身体を挟み込むように被さってきた。
振り向かなくても誰かは気配でわかる。だから振り向かない。
「――おい、なんだよこの体勢は」
エドワードが文句を言うと、男はさらに両腕を身体の前に回して抱え込んでくる。
「暖を取ってるんだ」
ロイはしれっと返す。
しかし故意なのか無意識なのか、後ろから耳元に囁いてくるものでされた方は堪らない。
顔も心臓も近過ぎる。勘弁してくれ。
「オレを湯たんぽ代わりにするなよ」
努めて邪険にそう言ったものの、確かにここは寒いしかといって火を焚くわけにもいかなかったので、エドワードも黙ってされるがままにした。
ここは真冬の国境沿いで、今は隣国からの夜襲が来るのを警戒しながらの野営中だったので。
部隊の司令官が陣営から外れたところで警護も付けずにふらふらしているのがばれるのも不味いだろう。この格好も。
「真冬の夜空は澄んでいて綺麗だな。街中でも戦地でもそれは変わらない」
気づくとロイは夜空を見上げているようだった。
言葉につられてエドワードも目線を上にやる。無数の星が瞬いていた。
「君が好きだよ」
「なっ……!」
不意打ちだった。脈絡がなさ過ぎる。
エドワードは振り向こうとしたが、ロイは空を見上げたまま顎をエドワードの頭のてっぺんに乗せたので身動きが取れなかった。
「オレの頭を顎置き場にするな! てか、こんな時にいきなり何言ってんのあんた……!」
「こんな時だからこそだよ、鋼の。――君にこんな景色を見せたくはなかった」
そう言うと、ロイは顔を伏せて今度はエドワードの肩に額をつけて蹲るようにして黙り込んでしまった。
不意打ちにもほどがある! と怒鳴るかのように打っていた心臓が、その言葉に今度は違う意味で早く脈打つ。
いつもは不遜で大きく見える大人がなんだか怯えている小さな子供のように思えて――抱き締め返して背中をさすってやりたい気持ちになった。
今もすっぽりと包まれているのは自分の方だったけれど。
しかし身じろげないまま、仕方なくエドワードは可能な範囲でロイの頭のある方に自分の頭を傾け、澄んだ夜空を見上げたまま言った。
「あの星はさ――」
星がきらきらとよく見えた。
「ここにいる皆を家で待ってる人達にも見えてるんだろ?」
ロイの言うようにアメストリス国内でなら、いや隣国でも恐らく、誰の目にも等しく同じように見えるはずだ。
例え角度は違っても、きっと同じ星空が。
「でも早く一緒に見れるようにしてやんねえとな」
こんな境界線もわからないような場所で見知らぬ相手と命のやり取りするのなど早いところ平和的に切り上げて、皆で早くうちに帰って家族と夜空を見上げよう。できれば暖かいところから。
「あんた和平交渉とかそういうの得意だろ?」
オレはあんたと一緒なら何処ででもいいけど、という言葉は空から降ってきた漆黒の二つの宙と唇に遮られて、二人の間で溶け込んだ。

fin

******

突発SSでした。脈絡なくすみません。
なんとなく戦メリを思い出してでもクリスマスにはしたくなくて冬で戦場でロイエドで・・・といろいろ厨二的に拗れた結果です。
設定は未来軍豆でも旅の途中で召集されちゃったのでもご自由にどうぞ。
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 二次創作:小説・腐向け
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